2022/02/10 19:00
WACCA JAPANが抄紙のディレクションを担当させていただいた、
岐阜県美濃和紙・丸重製紙さんのオリジナル緑茶入り和紙を入荷いたしました。
やや厚口(80g/㎡)をA4カット20枚入りにて、
やや薄口(50g/㎡)を約490×318mmの5枚入りラッピングペーパーとして販売いたします。
2015年に小川和紙の工房で製作していただいた緑茶入りの和紙の在庫がまもなくなくなる頃。
岐阜県美濃和紙の機械和紙製造メーカー・丸重製紙さんと電話で雑談をしていた時、
常務・辻将之さんが「茶葉入りの和紙も作ってみたいんですよね」とつぶやきました。
これはグットタイミングの予感...
そしてこの一言から、この緑茶入り和紙の抄紙に関わらせていただくことになりました。
茶葉の調達は、静岡の製茶会社、カネイ一言製茶株式会社様へ相談し、
数種類の茶葉をご用意いただけることになりました。
まずは、手漉きでいくつかのパターンを試験。
そのなかに「試しにやってみた」リバーシブルで茶葉の入れ方を変えたサンプルがありました。
和紙は二層にして、リバーシブル仕上げにすること自体は珍しくないのですが、
今回のような自然物を混ぜた和紙で、
表裏違う仕上げになっているものはこれまで私は見たことがなく、
これは面白いし用途も広がりそう!ぜひトライしてみましょう、ということに。
茶葉の選定についても、カネイ一言製茶様と話し合い、
飲料に向く茶葉ではなく廃棄物などを活かせないか?という相談を持ちかけました。
お茶っぱというのは案外捨てるところがなく、
大手のペットボトル飲料の製造メーカー様で発生する出がらしの茶葉なども
家畜飼料にするなど、ロスの少ない食材だそうです。
その中で今回は、製茶の工程で発生する最も細かい粉末部分「細粉(ほそこ)」と、
販売品ではないサンプル茶を主に使用することにしました。
さて、抄紙本番。
せっかくの機会なので抄紙のはじまりから終わるところまで、
通して立ち会いをさせていただくことに。
どろどろの液体が紙に変わる瞬間は、機械抄紙ならではの面白さです。
湯葉のような状態から、ひょいっとラインへ持っていくと和紙になっていきます。
機械抄紙とはいえ、想像以上に人の手が入らないと作ることができない和紙。
工場の職人さんたちの経験と勘が活きる世界でした。
抄きたての和紙!
お茶のいい香りが工場全体に広がっています。
これが最初の調子出し(製品にならない部分)の分です
機械抄紙の世界ではかなり少ない量ではあると思いますが、
われわれ一般の消費者からすると「こんな量が無駄になるのか」と驚きます。
抄き終わりも同じく、ロス分が発生します。
途中で一部を取り出し、問題なく仕上がっているかチェックを入れます。
切り取った箇所や問題に気づいた箇所には付箋などの目印を入れておくそうです。
このようにして仕上がったお茶入りの和紙。
抄紙したのは2021年11月ですが、まだお茶の香りがしています。
良い香りが残っているうちに、たくさんの方に楽しんでいただきたいです!
丸重製紙工業組合